22~23年秋冬メンズ市場の行方を占う見本市、ピッティ・イマージネ・ウオモがフィレンツェで開催された。いよいよ14日からはミラノ・メンズコレクションもスタートする。来週はパリへと続き、欧州ではメンズファッションの新作発表が相次ぐことになる。現地では様々な感染対策に取り組みながら、ビジネスの再開を淡々と進めている。
残念ながらその現場に臨むことはできず、日本のブランドもデジタルでの配信が中心となる。渡航もままならない状況が続き、アジア、日本と欧州との距離感を実感する。アジアからの来場者がほぼないままで進行していくファッションイベントを歯がゆく思う。しかし、こういう状況だからこそ、改めて自らのアイデンティティーを振り返るきっかけにもなる。
先日の対談で「サポートサーフェス」の研壁宣男さんが、西洋と日本のそれぞれの美を重ねながら作ることに光を見いだしたと語っていた。長らくイタリアで物作りをする中で、日本人のアイデンティティーと西洋の服の構造への知識をミックスすることを選んだ。
自らのブランドの持つ世界の中での立ち位置、オリジナルの強さは何なのか。この〝鎖国〟にも似た状況も、己を見つめ直して、新しいクリエイションを生み出すきっかけになりうる。そうポジティブに考えたい。