《めてみみ》中間層の財布

2022/04/15 06:24 更新


 大手百貨店の3月売上高は、全社が前年実績を上回った。反動増で2ケタ増だった21年3月からさらに伸ばしたことになる。まん延防止等重点措置の解除のほか、花見や旅行などのお出掛け需要、入卒園のオケージョン・新生活需要の重なりが大きい。ファッションビル・駅ビルも大半の施設が前年実績を上回っている。コロナ禍前の売り上げには届いていないものの、消費抑制が少し緩まってきたのだろうか。

 百貨店では、ラグジュアリーブランドや時計、宝飾品といった高額品の伸びが続いている。富裕層に加え、「若年層の高額品の購買」も貢献しているようだ。ファッションビルでも「春アウターを中心に高単価商品が稼働」「ポイントアップ期間中は、特に高単価商品の動きが良い」「コスメや雑貨店では5000円前後のギフトが高稼働」などの指摘が目立つ。

 「高単価」には、普段動きの鈍いアウター購入が伸びたことや、日常利用よりギフト購入が多いこと、新生活への〝投資需要〟といった側面もうかがえる。高額品消費との違いはあるとはいえ、価格重視ではなく、少しでもより良い物を購入したい意識の表れだろう。

 こうした意識は続くと思われるが、気になるのが、各種物価の上昇だ。可処分所得の限られた中間層が納得する商品提案が一層重要になるのではないか。



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