《めてみみ》米国生産を貫く「レッドウィング」

2025/07/01 06:24 更新NEW!


 「レッドウィング」は75年刊行の『メイド・イン・USAカタログ』で初めて日本に紹介された。アメカジ全盛の80年代に人気に火が付き、以来、現在まで5~10年周期でブームが起きるブーツブランドだ。

 創業来、米国生産を続けている。それが日本で支持される理由にもなっているが、実は数年前に危機があった。コロナ禍で生産が滞っていた時期に本社と各国の販売拠点を結ぶネットワークが不正アクセスを受け、サーバーに保存していた裁断や縫製仕様などのデータが使えなくなった。

 供給維持のため、工程を機械化する前に働いていた熟練職人を呼び戻し、品番を絞り手作業で生産した。日本では規格外のB品や展示サンプルを販売した時期もあった。その後、供給体制は回復した。

 ここ数年の円安もあって日本では24年12月に値上げしたが、人気は依然として根強い。25年秋冬のメンズカジュアルでは、レッドウィングをトレンドの靴としてスタイリングに取り入れるセレクトショップも増えている。先日も取材先の専門店で「一生ものならコレ」という店員の言葉にうなずきながら、レッドウィングを試着する若い客を見かけた。

 高関税をテコに製造業復権を目指すのもいいだろう。ただ、メイド・イン・USAを貫きつつ、長く支持されるブランドが育つのは、一朝一夕では難しいと思う。



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