《めてみみ》事業の本質

2022/04/19 06:24 更新


 ファーストリテイリングの上期決算会見でユニクロのロシア事業について質問が出た。柳井正会長兼社長の「衣服は生活の必需品。ロシアの人々も同様に生活する権利がある」との発言が3月7日に報道され、10日にロシア事業の一時停止を発表したからだ。

 柳井会長は「商品が着かない。紛争激化など色々な面で継続が困難になり、判断した」と話し、次いで岡﨑健取締役グループ上席執行役員が、元々は3月2日の別件の取材での発言が7日に掲載されたと説明。

 実際には発言から1週間以上経ってから停止を決めたことになる。その点について「判断が遅れたのでは」と聞かれた柳井会長は「遅れてはいない」と断言。「いつでもどこでも誰とでもテレビ会議で話せる。状況は全部わかっていた」。

 一般の人々に日常着を提供するというユニクロの業務がどの時点まで続けられるか、従業員の安全は守れるか。現地と毎日やり取りし、刻々と変わる情報の確認、検証を重ねた上での判断が「遅れることはあり得ない」。

 ファストリには、人権問題や高額な年収など、実際の内容と少しずれた伝わり方をする報道が多いように思える。どう受け止めるかは個人の自由だが、本質的に正しくないことをしている会社が、40年程度で売り上げ規模2兆円超のグローバル企業になどなれないのではなかろうか。



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