百貨店婦人服の中間価格帯であるモデレートゾーンが復調の兆しを見せている。新型コロナウイルス感染拡大によるまん延防止等重点措置の解除で外出機会が増加し、消費マインドも高まり、売り上げがプラスに転じ続けた。ラグジュアリーブランドや時計・宝飾品など高額品の売り上げ増が続いていたが、婦人服は今春商戦まで今一つだった。
通勤の買い替え需要のほか、花見、食事会など外出機会が増えたことでカジュアル商品が動いた。伸び率が高かったのがスカートで、ティアード、マーメイドなどロング丈に動きがあり、ショート丈のブルゾンとの着こなしが人気だった。パンツはワイドが主流となった。
象徴的だったのはフォーマルで、「売り上げは前年比2倍で、コロナ禍前の19年水準を上回った」(都内百貨店)という。ブラック、カラーともに伸び、買い替え需要が顕著だった。感染拡大で、結婚式や卒・入学式などのセレモニー需要がこの2年間、ほぼ消失した。その反動ともいえるが、久々の活況となった。
もっとも、衣料品の構造不況から脱するには至っていない。都内百貨店の4月婦人服売上高は前年同期比10%増を確保したが、19年比では15%減を強いられている。旅行をはじめ、外出機会が徐々に増えつつあるとはいえ、需要を創出する新たな試みが欠かせない。