素材メーカーや商社に新たな事業を聞くと、多くがサステイナビリティー(持続可能性)関連。地球環境に配慮した素材や取り組みがベースになってきた。一方でアパレル企業や小売りの店頭での打ち出しはまだ一部にとどまる。この溝をどう埋めるかがエコ素材を生産・販売する企業の課題だ。
とはいえ「オーガニックコットン(OC)生地の販売がこの1年で大きく伸びた。綿花高で価格が高いにもかかわらず、OCが欲しいと言ってくれる」。商社の生地担当者は顧客の変化を感じている。
別の商社マンは肩を落とす。環境配慮姿勢を強く打ち出す小売りにOC100%の自信作を提案したが、「高い。リサイクルポリエステル混にして価格を抑えて」と要望された。「OCと再生ポリエステル、二つを売り文句にできる上に価格も抑えられ、機能性も付与できる」ためとのこと。商社マンは「わかるんです。でも、先進企業ですら本物はいらないんだ」と感じた。
OCも育成に大量の水を使い、環境にとって万能とは思ってはいない。OCと再生ポリエステルの複合生地も既に持っている。「しかし…」である。
なぜサステイナビリティー活動に取り組むのか。この軸がブレないことが肝だ。売らんがため、投資を呼び込むためのエコならいずれどこかで行き詰まる。信念がないからだ。