友人が「職場で〝スイハラ〟を受けている」と笑いながら話していた。スイハラはダイエット中の人や甘い物が苦手な人に無理に菓子をすすめることで、「スイーツハラスメント」の略だという。同じ意味でカシハラ(菓子ハラスメント)とも言うとか。
セクハラ、モラハラ、マタハラ…〇〇ハラスメントという言葉は枚挙にいとまがない。ここ数年でも新たにワクハラ(ワクチンを接種しない人への嫌がらせ)、リモハラ(リモートワークをする人への嫌がらせ、テレハラとも)などの新語が生まれた。
20年6月に大企業を対象に施行されたパワハラ防止法(労働施策総合推進法)は、今年4月に中小企業にも対象が広がり、対策が義務化された。パワハラは優位的な地位の者による立場を利用した嫌がらせ行為を指す。部下から上司への〝逆パワハラ〟や、SOGIハラ(性的指向や性自認に関する侮辱的な言動)やアウティング(性的指向・性自認などを本人の同意なく暴露すること)もパワハラに該当する。
不快と感じる境界線は人それぞれだが、客観的に見てもハラスメントと認められる行為を放置することは許されない。各社で研修や相談窓口の設置などが進んでいるだろうが、線引きや定義の議論に終始せず、各人が能力をいかせる働きやすい職場作りという本質を見失わないようにしたい。