自分が愛用していた服を息子が着ている姿を見られるのは、もっと先のことだと思っていたので感慨深かった。記者(当時30代)が20年ほど前に購入した、中年太りで着られなくなった服が、たんすにたくさん眠っている。やせたら着ようと捨てられずにいたが、先日、体重計に乗って断捨離を決意した。
捨てる前に中学1年生の息子に着せたところ、だぼだぼかと思ったら、そんなに違和感がなかった。今はオーバーサイズで着るのが当たり前だからだろうか。それとも身長175センチの自分の服が、154センチの息子でも大丈夫だったのは同じ〝ぽっちゃりDNA〟を受け継いでいるからなのか。
ある東京の服のお直し・リフォームの社長に取材した際、コロナ下で断捨離が進んだ一方、サステイナブル(持続可能)な意識の高まりから、「良いモノを長く愛用したい」と愛着のある服や昔、親が着ていた服を持って来店する人が増えたという。思い出の詰まった服を捨てられずにいる人は多いのだろう。
お直しの店では、体形の変化に合わせてリサイズするだけでなく、今の時代に合わせてフィット感も変えられる。さらにリメイクなどで新たな価値を付加して服をよみがえらせることもできる。これからは、どれだけ愛着を持ってもらえる服を提供できるかが問われるようになってくるのでは。