23年春夏欧州メンズコレクションを経て、都内ではメンズを軸にするデザイナーブランドの展示会が本格化している。展示会だけではなく、この時期に都内でファッションショーを行うデザイナーもいて、リアルに服を体感できる。
パリやミラノのメンズコレクション期間中に、映像形式で新作を披露するブランドもあった。しかし、フィジカル(リアル)のショーや展示会のスケジュールに押されて、映像を確認する余裕もない。やはり、一瞬ですべてが感じられるリアルの前に、映像の情報量では物足りず歯がゆく感じてしまう。
コロナ禍の2年はリアルでショーや展示会を開催できないため、映像に頼らざるを得なかった。当時はもうショーは無くなるという意見さえあったが、リアルが復活するともうデジタルには戻れないと実感する。
パリやミラノには各国からバイヤーが訪れ、日本ブランドの展示会も活況だった。その一方で、日本から渡欧したバイヤーの少なさに不安を感じた。経費増を理由に、バイヤー派遣を見送った企業もあると聞く。しかし、デジタルの少ない情報を頼りにリモートでオーダーするビジネスを、このまま続けるのが得策なのかと考えさせられる。
少ない情報量と少ない熱量のビジネスは、濃い熱量を求める客には響かない。効率ばかりを求めると顧客は離れていく。