大手百貨店の22年度第1四半期は前年に比べて、売り上げ、利益が大きく改善した。高島屋はコロナ下で赤字が続いていた百貨店が営業利益21億円で、黒字化した。大丸松坂屋百貨店は営業利益が27億円で、上期業績予想を上回った。前年のコロナ感染拡大による営業制限があった反動から、売り上げ、客数が大幅に伸びた。
けん引しているのが富裕層マーケットで、外商が増加した。高島屋の特選衣料雑貨や宝飾品の売り上げは、富裕層(主に個人外商)がコロナ禍前の19年比8割増、中間層が5割増。大丸松坂屋百貨店は19年比で、ラグジュアリーブランドが5割増、時計が3割増だった。購買層が中間層や若年層まで広がっている。
「資産価値があり、本物志向へより純化している」(村田善郎高島屋社長)という。インバウンド(訪日外国人)を除く国内客売り上げは、コロナ禍前の水準までほぼ回復した。一方で回復が遅れているのが中間層マーケットだ。
衣料品は前年に比べて大幅に改善しているとはいえ、コロナ禍前の3~4割減にとどまる。「節約・倹約疲れが一時的に見られたが、その後は本当に必要なものしか買わない。価格と価値のバランスがよりシビアになっている」(村田社長)という。中間層マーケットの再構築なしに、百貨店の再生は難しい。