メンズ分野を取材していると、英国の紳士服は避けて通れない。特にクロージングの世界では商品企画だけでなく、店舗などの空間演出でも英国のアンティーク家具は欠かせない。先日も、新しくオープンしたテーラーの旗艦店は英国で買い付けてきた重厚感のあるアンティーク家具やソファをぜいたくに配置していた。
スーツに限らず、ブリティッシュスタイルを提案するメンズウェアやドレスシューズ、バッグ、革小物などを扱うショップでもアンティークな什器が目立つ。古民家を改装した地方のセレクトショップのオーナーにとっても、独自の世界を表現するためにアンティーク家具は有効だ。
あるメンズ関連企業の社長の紹介で、鎌倉にオープンした英国アンティーク博物館を訪れた。建築家の隈研吾氏がデザインしたその博物館には、英国アンティークコレクターの土橋正臣氏が収集した100年以上の歴史がある家具や食器が展示されている。
エントランスにはビンテージのロンドンタクシーが置かれ、館内ではシャーロック・ホームズの部屋を再現した空間が見られる。アンティーク家具をリブランディングや顧客の体験価値向上に活用することで、ファッション業界の未来も魅力的なものになるかもしれない。ぜひ大河ドラマでも話題の古都・鎌倉まで足を延ばしてみては。