「クリエイティブディレクターとなって初めてフィジカル(リアル)でコレクションを発表でき、非常に感激した」と「レオナール」のジョージ・ルクスはうれしそうだった。21年1月に就任したが、2回のコレクションはデジタルでの発表。23年春夏パリ・ファッション・ウィークがフィジカルの初のショーだった。「モデルが着て歩くことで素材感が手に取るようにわかり、感情、雰囲気が伝わる。何よりお客様が感動してくれ、直接触れ合えた」と格別だったようだ。
カラフルな花柄プリントが特徴の仏レオナール。7月に三共生興がレオナール社の全株を創業家のオーナーから買い取り、傘下に加えた。今後アジアを中心に拡大する。
ルクス氏に、就任の経緯を聞くと、「大好きだったので自分から売り込んだ」という。自分のデザイン画やレオナールのイメージマップに加え、架空のコレクションをデザインしたのが、「良かったのでは」と自己分析する。
「好き」という気持ちを背景に、「ライフスタイル全てをレオナールで表現できる」と若い顧客の開拓を含めブランドの可能性を広げる。好きだからこそ「多くの人に知って欲しい」との思いだ。
好きだけでは飯は食えない。しかし、好きだからこそできることはたくさんある。人生、仕事の原点を久々に思い出した。