中国で春節(旧正月)に伴う大型連休が1月21日から始まった。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、春節恒例の大移動で国内の人の往来が活発になった。同様にコロナ禍前に消費をけん引していた中国からの訪日客に期待が高まっていたが、今回は空振りに終わる見通しだ。需要回復はもう少し時間がかかりそうだ。
中国は22年10月に再開した観光などで短期滞在する際の査証(ビザ)免除の対象外であることに加えて、日系航空会社をはじめ、中国路線の減便が続いている。団体旅行は中国政府が扱いを制限した状態のままだ。中国からの訪日は依然としてハードルが高い。
中国の回復が遅れている代わりに伸びているのは韓国、香港、台湾、一部東南アジアなどの訪日客だ。大手百貨店の免税売上高は昨年10月の入国制限の緩和以降、都心店を中心に回復傾向が続いている。1月の免税売上高は三越伊勢丹が前年同月比22%増、高島屋が2.2倍、大丸松坂屋百貨店が5.7倍で推移する。
三越伊勢丹がコロナ禍前の18年実績を上回っており、高島屋が18年比8割、大丸松坂屋百貨店が6割の水準にまで戻した。時計・宝飾品のほか、ラグジュアリーブランドのハンドバッグや衣料品を中心に高額品の動きが良い。訪日外国人の需要はまだ限定的だが、正常化に向けた備えが重要になる。