何を買うにしても値段が上がってきた。昨年の消費者物価指数は前年と比べて2.5%上昇。今年に入りさらに加速し、1月は4.3%も上昇した。81年9月以来の高水準だ。我が家でも「電気代がえらいことになってる」と悲鳴が上がった。
衣類や履物も徐々に上がっている。昨年は1.6%上昇。特に9月ごろから円安の影響も出始め、今年1月は3.1%の上昇になった。
商社の繊維事業を見ると、原材料高騰や円安による調達価格の上昇をある程度販売価格に転嫁できている企業や分野は堅調だ。百貨店アパレル向けなど中・高級ゾーンは、「作り過ぎは厳禁」。初回受注量や品番は絞られながらも、環境配慮型素材の活用や機能性の付与などで「価格が多少上がっても長く着てもらえる服が求められてきた」と、目指す方向性が変わってきた。
一方、厳しいのは低価格ゾーンだ。利幅が薄く、上昇するコストを吸収するには限界がある。「なかなか価格交渉に応じてもらえない」と取引を見直す企業もあれば、「供給網の見直しなどで要望に応える」と取り組みをさらに深める企業もある。いずれにしろウィンウィンの関係でなければ長続きしない。バリューチェーンとは、自社だけが潤うことではない。小売りだけでなく、商社を含めてどの企業にも当てはまる。