コロナ禍の影響が一段落し、SCの売り上げが大幅に回復している。22年度の業績は多くが19年度実績には届かなかったが、19年度超えや過去最高売り上げを更新する施設も相次いだ。
好業績を達成した施設は都市型、郊外型、アウトレットモールなど立地や業態は問わないし、好調要因も様々。ただし、都市型やアウトレットでは欧米ラグジュアリーブランドが売り上げをけん引した施設が多い点で共通する。都心の百貨店も同様の傾向だ。訪日外国人需要が押し上げたほか、高所得者層が海外旅行などを控えていた分、高級ブランド品への消費に回ったという見方が強い。
コロナ下の消費者ニーズの変化とビジネスモデルの変革を含めた対応策がSC業界でも盛んに議論されている。最近のラグジュアリーブランドの売れ方はコロナ下の変化を示す。テレワークの広がりで、都心で買い物をしていた足元商圏客の需要をつかんだ郊外・都市近郊SCが増えたのも特徴だ。
ただ、SCのあり方や求められるビジネスモデルは変わらないと感じる。好調なSCに共通するのはテナントとの連携を強化し、中心客層のニーズを踏まえた施策を行い、施設や店の持ち味を発揮している点。コロナ前からSCに求められる「当たり前の普遍的な条件」だ。当たり前のことを継続している施設は強い。