中国は「国貨」時代といわれている。国貨とは国産品のことで、中国生産を指す。ひと昔前まで中国は欧米や日本製を好む人が多かったが、若い世代は輸入品へ憧れを抱くこともなく、品質の上がった中国産を良しとして選ぶ傾向が強まっている。EV(電気自動車)はその典型だろう。
アパレル業界では、国貨を中国人・企業発オリジナルブランドの意味にとらえて話す人が増えている。今後の中国アパレル産業には「売れ筋追随のモノマネ生産でなく、企画・デザイナーと生産現場が密接につながり、一緒に新しい商品開発に手を携え、独創性を生み出すべき」。香港中大実業の子会社の盈雲創新はそう語り、ニット業界の未来像を描いて生産プラットフォーム作りに乗り出した。
減っているとはいえ、中国には生産現場が多数あり、商品調達は容易。しかし安易なモノマネと価格政策では、せっかくの国貨選択の盛り上がりをファッション産業は逃してしまうという危惧も、生産現場にはあるようだ。
自国のアパレル業界の発展が要だが、「日本企業からオファーがあれば、ぜひお付き合いしたい。日本には匠の技がある。互いに良い進化ができるはず」と、日本の良さを理解して開放的である。日本にとっても、こうした中国企業と組んで閉塞(へいそく)感を打破していく挑戦が面白いと思う。