中国で地方出張すると、相手先が最寄りの高鉄駅まで車で迎えに来てくれることが多い。先日はなぜか「助手席へどうぞ」と促され、座ってみて驚いた。運転席から助手席までのダッシュボード全面がデジタルパネルになっている。この座席ではエンターテインメントのコンテンツを選べて車内時間を快適に過ごせるのだ。
今春開かれた上海モーターショーでも話題になったのが、中国市場に投入する車の近未来型コックピットだった。運転席から助手席までが全面タッチパネル仕様。加えて天井は透明ガラスが目立ったという。記者が乗った車はガラス張りではなかったし、近未来型コックピットもまだ街中でそうそう見られないが、実際に投入されている。
日本人目線では、どうしても安全の観点から開発に戸惑いがあり、不採用となりそう。しかし、中国では「先進性と開放感」が所有欲として鮮明。自動車業界では「自国ではなく、中国で中国人が作る体制へ移行しなければならない」との課題がはっきりしたようだ。
これはアパレルも同様の流れといえる。ヒットアイテムの数量が小さくなり、日本企画そのままでも的中率は低くなっている。しかし、中国オリジナル企画を増やすと「同じブランドといえるのか」との問題に行き当たる。国ごとの運営や企画・生産が各業界で過渡期にある。