《めてみみ》競争から協調へ

2023/06/22 06:24 更新


 24年にトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用されることに伴う「物流の2024年問題」への対策が急務だ。長時間労働が多いドライバーの労働環境改善が期待される一方、ドライバーの労働時間が短縮される分、配送時間と距離が短くなり、輸送力の大幅な不足が懸念されている。

 NX総合研究所の試算によると、年間のドライバーの拘束時間の上限を3300時間とした際に対策を何も行わなかった場合、輸送能力は19年度に比べて24年度で14.2%、30年度で34.1%が不足する見込み。かなり深刻な事態だ。

 とはいえ、この試算はあくまでも何も対策をしなかった場合。ドライバーの待遇改善による人材確保や生産性向上などをしっかり行えば、課題解決につながる。

 政府はドライバーの負担が大きく、業務の非効率化の要因でもある「荷待ち・荷役時間」を「原則2時間以内、さらに1時間以内への短縮を目指す」「企業に物流担当者とは別に、物流を統括する責任者を設ける」などの荷主・物流事業者向けの指針を策定した。指針の内容は法制化される見込みだ。

 最近は共同輸配送など企業の枠を超えた物流対策が広がってきた。物流を「競争」領域ではなく「協調」領域として捉え、課題解決を目指す動きだ。政府の新たな政策がこの流れを後押しすることが期待される。



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