《めてみみ》向上心

2023/07/26 06:24 更新


 センスや向上心のある中国人は、自己研鑽(けんさん)への意欲が高く、研究熱心な人が多い。例えば、売り上げに責任を持つアパレル企業の役職者は、欧米とともに日本市場を参考に話題の店舗や商業施設を見回り、チラシや配布物も持ち帰ってヒントにしようとしている。今、高額な日本視察ツアーが活況なのも納得がいく。

 こんな話を日系生地メーカーの責任者とした時、「私たちも中国の取引先バイヤーの日本視察に同行して店頭を巡るのは、とても大事」と語った。「何に関心を持っているのか」「好きな素材やテイスト」を間近に観察でき、適切な提案を探れるチャンスなのだという。

 なるほど、中国で日本素材が売れている理由には、商品の特徴出しや在庫リスクだけでなく、「好みを押さえて開発する」という人々の努力もあるのかと気づかされた。

 一方、「日本人の企画担当者は欧米トレンドと自国の売れ筋しか見ていない」と話すのは、中国で販売する日系アパレル小売り関係者。爆発的ヒットアイテムが出ない今は、「その国の人の関心を肌で感じたり、研究しないと売れない」という。

 中国は一大消費国になり、1級都市の発展度合いは部分的に日本を上回る。そんな環境でも、志ある人は慢心することなく、日本人の創造や思考を観察し、目を肥やして考えやモデルを刷新している。



この記事に関連する記事