文章や画像を作成してくれる生成AI（人工知能）が話題だ。「チャットGPT」は驚くほどスムーズに文章で回答を示すし、画像生成のAIだと架空の「○○風の絵」も瞬時に見せてくれる。テレビで目にした動画は、登場人物が爆発に巻き込まれる実写映画のようだったが、これもAIが作ったと聞いて驚いた。
一方、その使い方や著作権などの問題も指摘される。ハリウッドでは映画制作への利用制限を求めて脚本家や俳優らがストライキを続けているが、問題は職を奪われることだけではないだろう。AIは過去の脚本や俳優の演技を参照しているのであって、全く新しい創作物ではないからだ。
ファッションビジネスでも早晩、デザイン制作やEC販売などに生成AIの活用が始まるだろうが、つきあい方には注意が必要だ。その点では、生成AIの登場が人間のクリエイティビティーを改めて問い直す機会になるのかもしれない。
生成AIの問題は、創造性に関わる点だけではない。専門家によると、予測変換のように言葉をつないでいくため、「もっともらしくうそをつく」そうだ。試しにチャットGPTに「繊研新聞について教えてください」と入力すると「産業技術総合研究所が発行している専門紙」と教えてくれた。もちろん間違い。正しくは「繊研新聞社が発行している」だ。
