セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のそごう・西武の売却手続きが迷走している。セブン&アイは昨年11月、ヨドバシHDと連携する米ファンドへのそごう・西武の売却を決めた。しかし、西武池袋本店へのヨドバシ出店に豊島区や労組の反対は根強く、売却時期は2度延期され決着が見通せない。
改装計画では本館の北、中央ゾーンにヨドバシ、北ゾーンに百貨店やテナントが入る案が示された。その後、反発に配慮して1階、地下1階の一部入居の断念を含めて検討を始めた。ただヨドバシは駅直結が譲れない一線だ。
疑問の一つは、ステークホルダーの対応。豊島区はビックカメラ、ヤマダ電機の駅東口進出時に反対の意思を示さなかった。「ヨドバシだからダメ」という疑念が生まれざるを得ない。地権者の西武HDに対しては、セブン&アイが十分に事前説明をしていなかったという指摘がある。守秘義務があるとはいえ、開示できる範囲でも誠実に説明していれば、これほど硬化しなかった。
「幾度もリストラと方針変更を繰り返し、その度に人材が流出してきた。かつての西武、そごうの良さが全てなくなってしまった」とそごう・西武のOBは吐露する。不採算店の閉鎖や希望退職の募集を重ねてきただけに、百貨店事業と従業員雇用の継続にあらゆる手を尽くしてほしい。