森ビルは東京都港区に大型複合施設「麻布台ヒルズ」を11月24日に開業する。地下鉄の六本木一丁目駅と神谷町駅の間の約8.1ヘクタールの敷地にオフィス、商業、住宅、ホテルのほか、医療センターやインターナショナルスクールも備えた「新しい街」ができる。
注目は商業ゾーン。飲食、食物販だけでなく、ラグジュアリーブランドやセレクトショップを中心に、上質で高感度なファッションが充実する。高額ラインなど館独自の商品を揃える店やブランドの旗艦店もある。
周辺にはファッション店がほとんどない。業界関係者の多くも「このエリアでファッションは売れない」と見ていた。にもかかわらず、多くのファッション店を導入したのは施設内のオフィスや住宅、ホテル利用者を含め、「高所得で、ファッション感度が高い客が増える」という「勝算」のためだろう。
03年に開業し、ファッションが貢献して22年度売上高が過去最高額を更新した六本木ヒルズも、開業前は「ファッションは売れない」と言われた。六本木ヒルズで新しい市場をテナントと連携して作ってきた「自信」が麻布台ヒルズのリーシングに表れたのかもしれない。ノウハウも生かしているのだろう。麻布台ヒルズが今後、テナントとともにどのように新しい市場を作り、エリアに変化をもたらすのか注目される。