《めてみみ》予定調和の次に

2023/09/22 06:24 更新


 24年春夏デザイナーコレクションはニューヨーク、ロンドンに続き、舞台をミラノへと移している。これまでのところ、ビッグトレンドは見えづらいが、グランジのような粗野な雰囲気やホラーを題材にしたクリエイションなど、新たな要素を取り入れたデザインも見られる。

 コロナ禍を経てのファッショントレンドは、体を意識した健康的な女性らしさを強調したスタイルがメインとなっていた。ファッションを日常へと取り入れるリアルなデザインやスタンダードアイテムも重視された。現代における女性らしさを探りながらも、表現としては保守的なデザインが主流。そんな流れがそろそろ変わろうとしているのかもしれない。

 音楽でもファッションでもそうだが、コンサバティブで予定調和なものが蔓延(まんえん)し続けると、どこかのタイミングでそれに対するカウンターカルチャーのような表現が一気に広がることがある。ビッグブランドを中心に、エンターテインメントに軸を置いたショーが増える中で、新たなデザインを提起する気風も衰えつつある。保守的なデザインの広がりに、一部のデザイナーたちはいらだちを強めている時期なのかもしれない。

 ミラノとそれに続くパリで、こうした動きに変化が起こるのであろうか。デザインで新たな時代を切り開くコレクションに注目したい。



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