大丸京都店は約50年ぶりにレストラン街を改装し、「京都の食文化を未来につなぐ」取り組みを開始した。地元の食品卸と協業し、同店専用便で地元産品を週1、2回配送する。レストラン街の全店がこの地元産品を活用するという。
各テナントには既存の仕入れ先がある。専用便の食材使用率は限られるかもしれないが、京都の一次産業の維持に賛同しているのだろう。同店は専用便の配送回数を増やす方針で、マルシェの開催も視野に入れている。4~5年前から開始した「ことごとく京都プロジェクト」の一環だそうだ。
地産地消に取り組む食品スーパーや飲食店は格段に増えている。グランフロント大阪にある無印良品の西日本旗艦店は、9月の大規模増床改装を機に同店のカフェ&ミールムジの約7割のメニューに近畿産の食材を使うことにした。今年30周年を迎える全国の「道の駅」は、93年の103から今では1200カ所以上に広がった。
地産地消は80年代に作られた言葉だという。時間はかかったが言葉は根付き、人を呼び寄せている。食だけでなくファッション産業においても、日本の物作りのサプライチェーンの維持は大きな課題だ。今、国産回帰の動きがみられるが、重要なのは少量だとしても取り引きを継続することだ。食の取り組みを見聞きして、そう思う。