《めてみみ》綿花の収穫

2023/10/11 06:24 更新


 日に日に涼しさを感じるようになってきた。各地で栽培に取り組まれる綿花も、これから収穫期を迎える。社長を含めて多くの社員が集まり、収穫祭を開く企業もある。日本有数の栽培面積のタビオは代表例。目標だった1000平方メートル当たり100キロの収穫量も達成できるようになった。

 地元の奈良・広陵町で無農薬の綿花から靴下まで一貫生産することは、創業者である故越智直正氏の悲願の一つ。長靴に作業着で、綿花を摘んでいた姿が目に浮かぶ。失礼を承知の上で、本社のデスクワーク姿よりも作業着の方がよく似合うと感じたものだ。

 奈良ではまた、新しいプロジェクトが始動した。研究開発や物流拠点であるタビオ奈良。EC拡大に伴う物量の増加や、「物流2024年問題」などを背景に、物流や情報発信の機能を持つ新しい拠点を構想中だ。概要はまだ白紙だが、既に隣接する土地の取得を終えた。

 目指すのは「世界最先端の物流センター」。そう聞くと、巨大な立体倉庫やソーターが次々と商品を飛ばすようなイメージだが、「ソーターで靴下を飛ばすような機器の導入は難しいかな。会長が存命なら『靴下を粗末に扱うような機器はいらん』と、どなられそうな気がして」。タビオ奈良を統括する真砂輝男取締役は苦笑する。時が流れても、創業者の思いは受け継がれていく。



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