百貨店の〝SC化〟が進む。専門店ゾーン「T8」を新設し、百貨店と一体化した京都高島屋SCがオープンした。T8は「ニンテンドーキョウト」「まんだらけ」「京都蔦屋書店」など百貨店にない機能・業態を集積した。「千客万来」を掲げ、国内外の観光客や学生、オフィスワーカー、地域住民など幅広い層の利用を見込む。
これに先立ち、高槻阪急が百貨店面積を2割に圧縮、高槻阪急スクエアに屋号変更して全館改装オープンした。地域の未利用客層の獲得と既存顧客を含めた来店頻度の向上を狙い、家電量販店やドラッグストア、均一ショップといった「暮らしに必要なコンテンツ」を多数導入した。
有数の観光都市であり学生も多い京都の都心一等地、一方は大阪と京都の中間にある中核都市の駅前。立地特性は異なっても、SC化の狙いは両施設とも客層の幅を広げることだ。館の収益性向上も目的の一つだが、顧客が高齢化し、新規客の獲得もなかなか進まない百貨店の長年の課題がある。
SC化しても、百貨店部分の利用客層が広がるとは限らない。物産展やバレンタイン催事など幅広い客層に支持されているコンテンツはある。こうした〝ハレの日〟需要も活用しながら、百貨店の魅力を高め、伝えることが欠かせない。SC化によって、買い回りを促進する運営力がより一層求められる。