行動制限が緩和され1年以上になる。旅行やライブなど外出機会の増加や買い替え需要といったコロナ禍からの〝反動消費〟が続いているのだろうか。百貨店、SC各協会が発表している既存店ベースの月次売上高はいずれも22年3月から19カ月連続プラスとなった。
衣料品も同様。百貨店の9月の衣料品売上高は前年同月比9.6%増で19カ月連続の増加。猛暑で秋物は苦戦したが、夏物消化が進み、衣料品全体でみれば伸びは続いている。衣料品を含め増収の背景にあるのはコト消費だろう。9月の増収は「外商催事や会員向け施策、物産展などのイベント効果も見られた」(日本百貨店協会)とする。日本ショッピングセンター協会もイベントによる来館増を増収要因に挙げている。
18年ぶりにリーグ優勝した阪神タイガースの祝賀セールでは、阪神梅田本店が建て替えオープン以来、過去最高の週間売上高と来店客数となった。シーズン末の単なるセールとは違う結果になったのは、コトに対する応援や共感消費の一例に思える。
反動消費や買い替え需要はいずれ一巡する。地域や個々の施設、店舗でみればすでに前年割れのところもある。秋物の早期消化が狙いなのだろう。ある都心商業施設で「スペシャルプライス」の札がある店舗をいくつか見かけた。これからが実質のアフターコロナの商売になる。