中国は不動産市場の深刻な落ち込みが続いており、今も消費は低調だ。一方、この秋は旅行や出張が非常に活発であるように見える。記者は上海駐在で、9月と10月の2度、平日に北京へ高鉄で向かったが、いずれも車内は北京南駅まで満席。名所も人であふれていた。直近では武漢に訪れたところ、やはり車内には空席がほぼなく、中高年の旅姿が目立った。
3年間の行動規制の反動とともに、平日適度に空いている観光地を楽しみたいという思いが強いのだろう。親しい日本人も「思い立ってハルビン、西安と2週連続で観光してきました」と旅行への出費を惜しむ様子はない。新しい経験、家族や友人との思い出作りには、人々は積極的にお金を使っている。
物販ではECの最大商戦である〝ダブルイレブン〟に突入し、地下鉄駅内やバス停留所では天猫広告が踊る。消費喚起に躍起と見えるのだが、コロナ禍以前は街中ダブルイレブン広告だらけだったというから、実際にはデジタル大手企業の抑え込み、お祭りムードの終焉(しゅうえん)もあってトーンダウンしている。
すでに1週目の売り上げ結果も出ているが、多大な広告費をかけている中国企業・ブランドだけが売れている模様。今年の購買傾向は明らかに、「価格に敏感で、低価格に流れている」とのこと。物販の厳しさがECでも顕著に出ている。