百貨店のインバウンド(訪日外国人)需要が急回復している。都心立地の百貨店は免税売上高がほぼコロナ禍前の19年水準に戻し、23年度の計画を上方修正した。23年度免税売上高は三越伊勢丹ホールディングスが914億円、高島屋が580億円、大丸松坂屋百貨店が544億円を見込む。
19年実績に対して2ケタ増となる見通しだ。コロナ禍前と異なるのは、円安を背景に、ラグジュアリーブランドなど高額品の売り上げに占める比率が高まったことだ。三越伊勢丹は特選・宝飾品がコロナ禍前の28%から44%へ、婦人服・雑貨が22%から28%に上昇した。一方で、化粧品は34%から12%へ低下した。
以前のような〝爆買い〟でなく、欲しいものを吟味して購入している。「国内客と同様の買い方。外国人顧客の関心度の変化に対応した売り方でMDバランスを修正した」(細谷敏幸三越伊勢丹社長)という。客単価はコロナ禍前に比べて7割上昇した。
台湾、香港、韓国など東アジアの訪日客を中心に、免税売り上げをけん引する。落ち込んでいた中国からの訪日客は、コロナ禍前の6~7割の水準まで回復している。三越伊勢丹は富裕層のニーズを掘り起こそうと海外外商担当を22年10月に新設し、20人の専門チームを編成している。国内客と同様に「個」の対応を強める。