文化服装学院文化祭のファッションショーで発表された服作りを福井県の繊維企業が支えた。「291(ふくい)プロジェクト」が中心となって呼びかけ、ショーの一部で使う生地や服飾資材などを提供した。
福井の繊維企業が参画するこのプロジェクトは「県内でアパレル生産を完結する」ことを目指し、約2年前に発足した。きっかけはコロナ下、ジャパンポリマークが中心となり、福井の繊維企業に声を掛けて県内でのマスクの一貫生産が実現したこと。「多くの繊維企業が集まる福井だからできた。アパレルも県内一貫で作ろう」と活動が始まった。
文化服装との取り組みはショーの支援にとどまらない。「物作りの現場を実際に見て感じて欲しい」と、学生約90人が同プロジェクト参画企業の工場を訪れるツアーを企画した。
9月の「繊研・電子版」のよく読まれた記事の上位に、経済産業省の田上博道製造産業局生活製品課課長のインタビューが入った。アパレル企業が国内産地を訪れる頻度が下がり、物作り現場の実態や可能性を把握できていないのではと警鐘を鳴らしたものだ。
今月、福井市で開かれた「北陸ヤーンフェア」は盛況だった。出展者は、「こうした機会に工場を見てもらえる」と産地での展示会開催の意義を語る。人手不足は深刻だが適時適品を実現する解は国内にもある。