「空き店舗がなく、顔ぶれも多様」。再開発が続く香川県高松市を約10年ぶりに訪れ、そう感じた。コロナ禍を経て厳しさが戻ってはいないか。そんな思いも片隅にあったが、違った。
中央商店街の1日当たりの通行量は、17年の基準値9万人強に対し22年は11万7000人超で、24年の目標値も大幅に上回った。活性化事業に取り組む商店街の通行量が目標値を上回ったという話は聞いたことがない。再開発事業を進めてきた丸亀町商店街振興組合の古川康造理事長は「驚異的な数値」と話す。「明らかに再生に向かって動いている」とも。
住む人も増えた。開発直前に実際に同商店街に住んでいたのは75人。今は面している建物だけで650人という。周辺のマンションを含めればさらに多い。開発前はゼロだった飲食店も今は30以上あるそうだ。単なる商業活性化ではなく「生活者にとって必要な業種、施設をうまく配置する」再開発事業が成果に結びついてきた。
行政施設やオフィスが従来から近隣に集まっていたこともある。10年に始まった瀬戸内国際芸術祭の影響も大きい。「明らかに国内外の観光客の来街が増えた」。地元商業者は口を揃える。住む人、買い物や飲食を楽しむ人が増え、さらに観光客も訪れる街になったことが通行量増加の要因だろう。今後も、暮らしを豊かにする再開発は続く。