ユニクロの9~11月の国内既存店売上高(EC含む)は前年同期比0.2%増。9月、10月は残暑の影響で秋冬物の動きが鈍く、苦戦したが、気温の下がった11月に盛り返し、3カ月累計で微増になった。
ユナイテッドアローズの4~11月の既存店売上高(同)は8%増だ。こちらも残暑の影響が出た10月以外、前年実績を上回った。コロナ禍の沈静化で、小売り各社の販売動向は力強さを一定取り戻したと言える。
気になる数字もある。ユニクロは9~11月の客単価が3.2%増だったのに対し、客数は2.8%減。ユナイテッドアローズも4~11月の客単価が8.9%増だったのに対し、買い上げ客数は0.4%減。
毎月の売上高と客単価が上がって、客数が減っているのは、ここに挙げた2社に限ったことではない。この現象にはほぼ間違いなく、22年秋冬から続く値上げが関係している。服だけではない。消費者物価指数の推移を見るまでもなく、生活費全般がかさむようになっていることを誰もが日々の暮らしのなかで体感している。
給料が増えなければ客数はさらに減り、売り上げは頭打ちになる。賃上げはまだインフレ率に追いついていない。ファッション業界は値上げを通して適正利益を上げないと、従業員の給料を上げられない。アキレスと亀の競争のようなパラドックスが生じている。