経済産業省の伊吹英明製造産業局長、日本ショッピングセンター協会の清野智会長が来年元日付のインタビューで、業界が直面する課題に「人手不足対策」を真っ先に挙げた。
伊吹局長は国内繊維業界について、「コロナ禍から脱したとはいえ、完全に回復していない大きな要因は後継者難を含む人手不足」、清野会長は「テナントの販売員不足が顕著。ディベロッパーとテナントで全体最適をどうすべきか話し合わなければならない」と強調した。
今年は5月に新型コロナの感染法上の分類が5類に移行し、繊維・アパレル、SC業界ともに市況は大きく回復、明るい兆しが見えた。一方、以前からの構造的な課題も顕在化した。人手不足はその最たるものだ。
来年は、トラックドライバーに時間外労働時間の上限規制が4月から適用されることに伴う「物流の2024年問題」が控える。ドライバーの労働環境改善が期待される一方、1人当たりの労働時間が減る分、人手が不足し、配送コストが上がるとともに、「物が十分に運べない」懸念が広がっている。荷主のアパレル企業や小売業も共同配送など対策を本格化している。
来年はコロナ禍からの回復を本物にするため、人手不足をはじめとした様々な課題に立ち向かう年だ。一企業ではなく、業界全体で取り組まなければ、課題は解決できない。