24~25年秋冬メンズファッションウィークは、舞台をパリへと進めている。これまでのところ主なトレンドは、ビジネススタイルとアウトドアスタイルのミックス、ラグジュアリーをミニマルの中に収めた表現などが際立っている。テーラードスタイルを現代のライフスタイルに合わせて、どのようなバランスで構成するべきなのか。都会と自然、機能性とエレガンスを巡る模索が続く。
パリに入ると、若手デザイナーたちのパーソナルで自由な表現も登場してくる。マーケティングやマーチャンダイジング優先ではない、伸びやかなエネルギーをはらんだ表現に、ファッションが本来持っているパワーを感じ取ることができる。何ものにもとらわれない初期衝動の持つ力。若手デザイナーのコレクションには売れ筋とは無縁のきらめきがある。
とはいえ、そんな若手デザイナーもビジネスを継続していくためには、様々なことを吸収しなければならない。初期衝動だけでブランドが存続するほど甘い世界ではないし、マーケティングやマーチャンダイジングの発想もビジネスが拡大すれば必要になる。そうやってしのぎを削って、ファッションウィークの公式日程に載り続ける。
若手デザイナーが少しずつ成長していく過程を間近に見ながら、より強く美しい物を作れるようになる過程に立ち会えることを幸せに思う。