就職の人気企業ランキングで常に上位入りする伊藤忠商事。この結果を同社も重視している。「学生が支持してくれるのは親御さんの声も含めた伊藤忠に対する世間の評価。業績が低迷していた時は悔しい思いをした」と岡藤正広代表取締役会長CEO(最高経営責任者)。
「総合商社で繊維カンパニーを持つのは伊藤忠だけ。だからこそ人材の質や集まる情報の量が豊富で顧客から選ばれる」と胸を張る。
「繊維をやりたいという優秀な学生は結構いる。ちょっとしたアイデアが生き、すぐに結果が出るからだ。そういう人材が伊藤忠に集中する。その受け皿になる繊維カンパニーの役割は大きい」。そう考えるから、「繊維カンパニーを死守する」という。
伊藤忠は繊維や食料など生活消費関連を強みとし、マーケットインの発想で安定した利益を稼ぎ出す。「繊維と食料では商売の本質は変わらない。顧客の声を聞き、市場の変化を感じ取り、市場に合った商品を届ける。繊維を経験した人材は融通が利き何でもできる」。その言葉通り、繊維出身の人材が食料ほかのカンパニーでも活躍する。
「力を入れる非財務資本の中核が人材戦略」と武内秀人繊維カンパニープレジデント。朝型勤務など働き方改革を長年続ける。「日本一、いい会社にしよう」を合言葉に「厳しくとも働きがいのある会社」を目指す。