本格的な春の訪れはもう間もなく。デザイナーブランドの旗艦店の春夏の状況をリサーチした。立ち上がりの商品はほぼ消化しているようで、ずいぶんと順調に見受けられた。スタッフに尋ねると「外国の方の購買意欲に助けられています」という。
インバウンド消費が昨今の日本のブランドビジネスを支えているのは間違いない。しかし、その弊害も感じることがある。学校が春休みということもあるだろうが、都内の繁華街はオーバーツーリズムのような混雑だ。主要ターミナル駅周辺は、歩道ですれ違うのも大変なほどごった返している。この後、桜の開花が始まると各地でさらに喧噪(けんそう)状態となりそうで怖い。
このようなオーバーツーリズムな状況になっているのは東京だけではない。2月にファッションウィークで訪れたパリの街もまた大変な混雑だった。春の段階でこの状況なのに、パリ五輪になったらこの街はどうなってしまうのだろうと危惧する。
コロナ禍でセーブしていた観光需要が、世界各地で回復しているのであろう。ロックダウン(都市封鎖)の時期から見れば幸せなことなのかもしれないが、受け入れ側のキャパシティーが需要に追い付いていないのが問題だ。人の交流が経済を回すというプラスの面だけを見るのではなく、マイナス面を改善するインフラの整備が求められている。