都内は春先から訪日外国人があふれ、インバウンド消費がファッション企業の売り上げを押し上げている。現在、問題になっている円安傾向もインバウンド消費にとっては追い風。訪日外国人がショッピングバッグを抱えて歩く姿が目立つ。
インポートブランドを扱う専門店にとっては、訪日外国人ばかりに頼っているわけにはいかない。インポートブランドの価格の高騰は、一般的な日本人にとって現実味がなくなっており、いくつかのショップでは仕入れの見直しを進めている。例えば、店の別注で価格とクオリティーのバランスを考えて、日本市場向けの商品を開発する動きだ。インポートを中心としていた品揃えを見直して、国内ブランドの導入を進めるショップもある。
仕入れの見直しは、価格以外の要因もある。温暖化が進む昨今の日本の気候を配慮して、品揃えを変える傾向も見られる。秋冬商品の発注状況を百貨店や専門店に聞くと、アウターよりもトップとボトムを優先しているという。昨年の暖冬が響き、アウターを消化しきれなかったことが尾を引いているようだ。
今はインバウンド消費の陰に隠れて見えてこないが、日本の一般的な消費傾向は静かに大きく変化しているのかもしれない。かつて、デザイナーブランドにとって米国に次いで大きな市場と言われた日本は、この先、どうなっていくだろうか。