24年3月期決算で縫製大手のマツオカコーポレーションの連結経常利益が伸びた。為替差益の増加に加え、中国から東南アジアなどへの生産シフトが加速、収益力が高まった。アジア各国に自社工場があり、生産アイテムや納期、生産量などに適した工場で作るノウハウが強みの一つだ。しかし現状は、「人海戦術」と松岡典之社長。
さらなる改善に向けてシステム投資し、生産計画などを自動立案する「生産スケジューラー」を導入。作業の7割が自動化できる見通しで、今期末の本格稼働を目指す。
中国などで工場運営する東レ香港は、商品多様化と生産性を高めて成長が続く。生産性向上に貢献するのが受注、縫製進捗(しんちょく)、納期などを一元管理する「コックピットシステム」。中国など4カ国、6工場、約2万人の工員の生産状況が逐次更新され、タブレットなどで確認できる。問題の早期発見や未然防止に活用している。
「工場運営に、前へ行く事業を加えたい」(舟橋輝郎東レ香港社長)として接着技術を生かした無縫製ウェアの開発も進める。「無縫製が実現できれば自動化が見えてくる」とも。
アパレル縫製の現場で様々なデジタル技術の活用や技術革新が起きつつある。生産性の向上だけでなく、ビジネスモデルの変革や生産地の移転も引き起こす可能性があり、その影響は計り知れない。