「物流の2024年問題」の影響を感じることが増えた。4月からトラック運転手の時間外労働の上限規制が適用された。労働時間が短くなることで輸送能力が落ち、物が運べなくなると懸念されている。ある縫製工場では、付き合いのある運送会社のうち、1社が撤退。集配の回数が減り困っていた。
物流の24年問題に対応し、繊維商社同士が共同配送を始めたり、量販店のフジとイズミ、ハローズなどが「中四国物流研究会」を発足させたりと様々な連携が目立ってきた。従来なかなか進まなかっただけに成果を期待したい。
タクシーに乗ると運転手に前職を聞くようにしている。最近ではトラックやバスからの転職組がおり「給料が格段に上がった」という。「予約やアプリからの配車が大半で以前のような〝流し〟は少ない。体も楽だし、給与が上がり、家族も喜んでいる」とうれしそうだ。タクシー業界も人手不足が続くが、「最近では若い人も入ってくるようになった」とも。ビジネスモデルが変わり給与が上がり、働く人も変わりつつあるのだろう。
近年トラック運転手の数は85万人前後で大きくは変動していない。しかし、労働改善が進まなければ他業界への流出は自然な流れ。運転手不足はさらに進むだろう。繊維・アパレル業界は24年問題に対し、打てる手は全て打つくらいの覚悟が必要だ。