明日から6月。初夏の強い日差しに新緑が映える季節だ。そろそろ衣替えの時期。子供たちが軽やかな夏の制服に着替えて登下校する姿が目に浮かぶ。重厚な黒ギャバの詰め襟の学生服からまぶしい白の開襟シャツへ。季節の移ろいを感じることができる。
制服のある学校の場合、衣替えは6月1日と10月1日に設定しているところが多いようだ。その前後2週間を衣替えの準備期間として、柔軟な対応をしている学校もあると聞いた。しかし、季節の変化を感じられる衣替えの習慣にも、昨今の温暖化は影を落とす。昨年の東京は、気温がセ氏25度を超える夏日が11月になっても複数回あった。東京の夏日は143日を数え、1年のうち4割が夏日という記録となった。秋の衣替えの時期を1カ月延期してもよいほどだ。
11月になっても夏日が続く気候の変化に、アパレルも商品展開の見直しを迫られる。コートを店頭に投入しても売る時期がないことも予想され、今年はコートの生産を見送るブランドも多い。中には実績のあるコートに絞って投入するというブランドもあるが、結果としてコート需要が集中して一人勝ちする可能性もある。
気候の変化は、実需期と店頭投入時期のずれを生み出し、実売期間を圧縮している。セールの時期も含め、気候の変化に対応した販売サイクルの見直しが求められている。