《めてみみ》全館セールの価値は

2024/06/28 06:24 更新


 夏のセールが始まる。商業施設のセールの集客力の低下が言われだして久しい。一部施設で開始日を遅らせたり期間短縮の動きが見られるものの、都心施設の大半は、例年通りの6月28日ないしは7月1日にスタートする。7月末までの期間設定も変わりはない。違うのは独自の日程を組む店舗が増えたことだ。

 いくつかのセール情報を見ると、施設とは異なる遅い開始日の店舗が結構ある。店舗独自の日程は、長い夏への対応や正価販売強化、ブランディング重視の経営方針などが理由だろう。その数はコロナ禍を経て着実に増えている。6月28日からの第1弾と7月19日からの第2弾と、店舗を分けて開始する施設もある。

 「全館セール」の店舗側のメリットは新規客の購買が見込めること。施設側にとっても参加店舗が多いほど集客力は高まる。集客面でのメリットを互いに感じていた時代はあった。ただ、アウトレット、オフプライス、二次流通と購入チャネルが広がるにつれ、セール初日の長い行列は年々短くなっていった感がある。

 〝セール離れ〟は施設側も認識しており、告知のテレビCMを見かけなくなった。代わりに強化しているのが値下げ以外のイベント、催事の併催。飲食店を絡めた集客企画も広がっている。この流れは変わりそうにない。値下げ以外の来店動機の提供がますます求められる。



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