1月中旬に一畑百貨店(松江)、7月末に岐阜高島屋が閉店し、百貨店空白県は山形、徳島、島根、岐阜の4県になった。都心部と地方の格差は広がっている。
日本百貨店協会が発表した6月の全国百貨店売上高は東京、大阪など「10都市」が前年同月比17.1%増で33カ月連続のプラス。過去最高売上高を更新し続けている百貨店もある。対して「10都市以外」の地方は3.8%増で3カ月ぶりのプラス。都心部との格差の最大の要因はインバウンドだ。加えて富裕層の購買頻度の差も大きい。コロナ下は地元で購買していた富裕層が、今は旅行を兼ねて品揃え豊富な都心部で購買するようになっていると聞く。
ただ、3期連続増収と健闘している地方百貨店もいくつかある。ラグジュアリーブランド、化粧品、デパ地下の改装投資の継続、外商客向け催事の強化などコロナ下から百貨店の強みを高めてきたこと。次世代顧客層の取り込みを狙いとする新規催事に挑戦していることが共通項だ。
「入学や転勤などの新生活や、お盆、年末年始など帰省客の需要は大きい」。増収が続く地方百貨店幹部の言葉が心に残っている。冠婚葬祭なども含め、こうした〝ハレの日〟需要をしっかりと獲得できているのは、百貨店として地元客に支持されている証に思える。もうすぐ盆休み。帰省客とその家族でにぎわうだろうか。