そごう・西武が米ファンド、フォートレス・インベストメント・グループの傘下に入り1年が経過し、再生への取り組みが本格している。最大の焦点は西武池袋本店の全館改装だ。不動産をヨドバシホールディングスが取得、百貨店の面積が半減する中で、事業継続に着手する。
改装計画ではラグジュアリー、コスメ、食品を中心に領域を絞り込む。「3領域のカテゴリーキラーになる」(田口広人社長)とフルライン型の百貨店から脱却する。全てのブランドをデータ分析し、売上高、利益の貢献度を見える化した。順位の上位がラグジュアリーブランド、コスメ、食品で「経済合理性から判断した」(田口社長)という。
強みの高いグレードに集中し、非日常の商品に特化する。一方で、従来扱っていた日常品はヨドバシが担い、すみ分けする。そごう・西武代表取締役の劉勁氏は「百貨店は特別な商品を扱って買い物のわくわく感を提供する」という。
取引先は池袋本店の外商を中心とした顧客基盤を高く評価する。「ファッションの西武」として輝いていた80年代に若者文化とアートの発信拠点、90年代に売り上げ日本一を誇った同店に対する思い入れが強い。ただ、都心店の多くはラグジュアリーブランドなど高額品を強化しており、同質化が避けられない。品揃え、サービスの独自性の発揮に向けた道のりは険しい。