《めてみみ》未来志向で考える、環境とコスト

2024/11/22 06:24 更新NEW!


 近所に新しくできたナチュラルフーズ専門のスーパーをのぞいてみた。有機野菜や平飼いの鶏卵など豊富な品揃えだ。その一角に「パタゴニア」が手掛けるビールやパスタが並んでいる。担当記者に聞くと、パタゴニアは本国でも農業に力を入れているという。同社の環境保護に対する一貫した考え方に共感を覚える。

 品揃えの中には、他のスーパーの価格帯と大差ないものもあれば、大きく異なる価格差の商品もある。ちなみに平飼いの鶏卵は10個入りで800円台、パタゴニアのビールは1缶600円台だった。もちろん高いのには理由があるのだろう。生産効率よりも、従業員の健康や環境負荷を抑えることを重視した物作りはコストがかかる。

 以前、「ダブレット」のデザイナーの井野将之さんが、環境に優しい素材について興味深いことを話してくれた。「今はまだ、この素材は高いので、自分のブランドではこの混紡率でしか使えません。でも、自分のような規模のデザイナーでも使い続けることで、全体の流通量が増えればこの素材ももっと求めやすい価格になる」

 現状では、環境に配慮した物作りとコストは相反する状況にもある。生産者やユーザーがそれをどこでどう折り合いをつけながら選んでいくか。週1回くらいならパタゴニアのビールに変えられるかも、と未来志向で考えた。



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