《めてみみ》高くなった革靴

2024/12/17 06:24 更新


 革靴が高くなった。日本で人気の欧米ブランドがグッドイヤーウェルトやマッケイなど本格的な製法で生産する靴は、数年前まで5万~8万円程度で買えたが、今や10万円超えが当たり前になった。中には20万円以上に値上がりしたものもある。

 こうしたブランドの靴を売るメンズドレス系セレクトショップの店長に聞くと「特に新人社員が困っている」そうだ。履き心地を知らないと接客で商品の良さを伝えられないが、入社数年の給与水準では「社内割引でいくらか安くなっても簡単に買える値段にはならない」。

 最近は足のサイズが同じ先輩社員に譲ってもらうとか、フリマアプリやオークションサイトで探すなど、新品で買うのを最初からあきらめる駆け出し販売員も増えているという。

 本格靴がここまで高くなった理由は円安もあるが、靴を作る工場の工賃が年々上がっていることもある。欧米では物価上昇に比例して、労働の対価である賃金もある程度上がっている。

 日本を訪れるインバウンドの旅行者が買い物や食事に結構な金額を支払う様子をたびたび見かけるが、円安効果以外に所得が増えている実感が金払いの良さにつながっているのかもしれない。価格を抑える努力も良いが、日本の企業はそろそろ値上がりした靴が躊躇(ちゅうちょ)なく買えるくらい給料を上げる方法を考えたほうが良い。



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