クリスマスなど行事が続く12月。都心の百貨店やSCは久しく経験したことがないほど混雑していた。24年の消費を振り返ると、自然災害や気候変動の影響はあったものの、全般に好調だった。日本百貨店協会発表の全国百貨店売上高は、高気温による衣料品苦戦で32カ月ぶりのマイナスだった10月以外は増収。11月も3.4%増だった。
日本ショッピングセンター協会発表の国内既存SC売上高も1~11月は全月増収。10月はキャラクターなどの雑貨や飲食が売り上げを支えた。12月は、今年の締めくくりを飾るにふさわしいにぎわいぶりを感じる。「12月も過去最高月商を上回りそう」。そんな声も聞く。
背景の一つは賃上げだろう。物価高もあり実感できない人も多いかもしれないが、厚生労働省によると賃上げ交渉の平均妥結額は1万7415円、賃上げ率5.33%。前年を大きく上回り、年末の商業施設で見られるような旺盛な消費意欲を支えた。また、株価も貢献し、富裕層の高額品消費も引き続き好調だ。加えて、インバウンドの消費の上乗せがある。都心だけでなく地方都市でも消費額が上昇していると聞く。
インバウンドの伸びは当面続くだろう。気候、為替、株価の変動リスクは常にあるが、人手不足問題への対応を含めた賃上げもさらに広がり、インフレの好循環が続くことを期待したい。