野球殿堂入りを果たしたイチローさんが、各地の高校野球部を巡り、球児たちに指導をしている。ある県の私立強豪校をライバル視する県立高校をイチローさんが訪れた動画を先日視聴した。練習を一通り見たあと、生徒たちに対して彼が開口一番にこう言い放った。「(その強豪校は)眼中にない」。
「きっと君らを意識すらしていない。だからこそ、まずは存在を認められるまで実力を高めよう」。そんな趣旨のことを言っていた。憧れの人にガツンと言われ、球児たちの目の色が変わったのが映像から分かった。
スポーツ業界では大手外資ブランドによる「日本外し」が加速している。かつては日本市場に配慮したキメ細かいMDを組んでいたが、中国や東南アジアなど他エリアの市場が拡大するにつれて位置付けは低くなり、日本向け企画は減り、価格と釣り合わない商品が増えた。業界歴の長いある大手の小売り幹部によると、「彼ら(外資ブランド)にとって日本市場はもはや眼中にない」という。
とはいえ過去をさかのぼれば、成熟したバイヤー・消費者が多い日本市場から、世界的なヒットが生まれた例は少なくない。効率性ばかりを重視すると見落とすチャンスもあるだろう。そして何より「商品の選択眼を更に磨き、一目置かれる市場にしてやる」というバイヤーたちの奮起に期待したい。