平日昼間の百貨店メンズフロアを取材で訪れる機会が多いが、いつ行っても来店客はまばらだ。都内の店舗では外国人観光客の姿をちらほら見かけるくらい。ターゲットとなる大人の男性の大半が働いている時間なので、買い物を楽しむ男性客が土日に集中するのは当たり前かもしれないが。
地方の有力個店のオーナーとの雑談でも「都心の商業施設でシニア・シルバー層の男性客をみかけなくなった」と話していた。洋服を買うことを楽しむ人は少なく、旅行や趣味、おいしいものを食べに行ったりする方が優先順位は高いのだろう。
大手紳士服専門店の中間決算でも客数減が売り上げ減少の要因として挙げられていた。同業態ではビジネスマンのスーツ離れの影響も大きいので、カジュアル化など商品構成の見直しも急務だ。それ以上に、Z世代からの認知度の低さに危機感を覚える企業では、若い世代への新たなアプローチを模索している。
一方、先日取材した宇都宮市のセレクトショップ「アークネッツ」では平日昼間でも若い層の来店が目立っていた。ここでしか買えない豊富な別注企画や週末限定営業のショップイベントの効果が大きい。自社で発信するユーチューブに出演する店長に会いに来る客も増えたという。デジタルツールを活用しつつも、リアルの場を大切にする姿勢を貫いてきた結果なのだろう。
