三宅デザイン事務所は、メンズウェア「アイムメン」の特別展覧会「フライウィズアイムメン」を東京と大阪で開催している。21年にスタートした同ブランドは、三宅一生による「一枚の布」の考え方を男性の体という視点で捉え、物作りの可能性を追求してきた。今年1月、パリで初のショーを行った25年秋冬コレクションの特徴的な構造とテクノロジーをひも解く。
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会場には、一枚の四角い布の形を崩さずに製品化した四つのアウターが並ぶ。ショーはスタイルを見せることに専念したが、ここでは平面の生地と立体の服を隣り合わせにして、素材と設計のユニークさを分かりやすく説明する。例えば、人工皮革「ウルトラスエード」を使ったコートは、直線の切り込みが入り、ドットボタンを留めるとトレンチ風のディテールが入った形になる。肩の傾斜も配慮し、袖も前振りに近い形状になるよう切り込みの入れ方を調整し、シルエットの美しさを両立させる。
一枚の布を、体に沿ったドレープで見せる手法とは異なるアプローチで発展させている。ウルトラスエードは植物原料を100%使ったタイプで、衣服で使うのは初めて。装飾として取り入れたグラフィックデザインのドット柄のレーザーカットは、工業製品の技術を応用し、軽さや通気性の向上にもつながった。
東京展は六本木の21_21デザインサイトギャラリー3で8月3日まで、大阪展は南船場のクリエイションスペースで8月26日まで。
