【次世代型ビジネス】オンワードとストライプの挑戦②

2018/11/11 07:00 更新


“DNA”が異なる企業の共同

 企業としての成り立ちやカルチャーを異にするオンワードホールディングス(HD)とストライプインターナショナルは、実店舗での販売を原点とすることで共通する。

 両社の得手を生かし、相互補完する戦略的パートナーシップ(業務提携)を推進する。

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■今の経営環境をどうみるか

オンワードHD保元道宣社長 インターネットをはじめとするテクノロジー関連が急激に進化をしている。当社もストライプも実店舗が企業としての原点。しかし、店の在り方がECに押されている。

 店頭現場の社員は頑張っているが、思ったようなパフォーマンスが上がらず、業界全体ではアパレル不況とまで言われている。しかし、お客が服を着なくなったわけでも、買わなくなったわけでもない。〝買い方〟が変わっただけであり、この消費動向に企業側がまだ十分にアジャストできていない。そこに業界としての課題がある。

ストライプ石川康晴社長 当社が創業したのが24年前。そのころには百貨店市場が縮小し始めていた。数年後にファッションビルが縮小。最近では駅ビルやSC、郊外型ロードサイドショップでさえシュリンクしている。小売り業態全てが縮小基調だ。

 これにより国内アパレルは厳しい環境に置かれている。業績の落ち込みをカバーするために、各企業はECによる利益確保に注力し、オムニチャネル化を粛々と行っている。しかし、一気に自社プラットフォームが伸びているところもあれば、良いテクノロジー人材を確保できずに伸び悩んでいるところもある。

■今回の提携に至る経緯は

保元社長 今年1月にソフトバンクが主催した中国のテクノロジー企業視察ツアーがあり、そこで日本のアパレル業界から石川さんと私が参加していた。丸4日間行動を共にするなかで中国の有力テクノロジー企業を見るとともに、日本のアパレル業界の未来について話す機会があった。帰国してからも意見交換を重ねていくなかで、今後の業界として行うべき課題やビジョンについて近しいものを感じた。

 企業としての〝DNA〟や成り立ちは異なる面はあるが、逆にそういった企業と共同することで、複眼思考や柔軟な発想が持てると判断した。

石川社長 市場におけるターゲットは当社のF1層(20~34歳女性)と、オンワードのF2層(35~49歳女性)とは異なる。主力の販売チャネルもSCと百貨店ですみ分けられる。互いに補完できる関係であると、早い段階で考えていた。

パートナーシップによって「複眼思考や柔軟な発想が持てる」とオンワードHD保元道宣社長


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